翻訳と日本の近代 (岩波新書)



翻訳と日本の近代 (岩波新書)
翻訳と日本の近代 (岩波新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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近代史と翻訳

 翻訳だけでなく、近代史もある程度学べるオトクな書物です。
丸山真男の該博な知識から、江戸時代儒学者の翻訳観、漢語との対比。
さらには比較文化論にもなっています。
きちんとそれらの思想家がどこで翻訳、言葉について論じていたかを
丸山はソースを提示しつつ述べています。それに比べると加藤の方は
独断と偏見、推測だけで語る、あるいは質問する形で丸山がそれを
たしなめるような形にもなっています。質問者がまだ有能な人であれば
更に深く「近代そのもの」の問題へと発展したのではないか、と思うと少し残念です。
とはいえ丸山の学生時代の法学教育もどのようなものだったかを知ること
ができ大変有益な書物だと思います。
翻訳と近代の間で

翻訳が単に一方通行ではなく、受け入れる側の屈折を通じてそれが意味をもつということを、幕末から明治期の翻訳談義を通じて明らかにされる。翻訳を通じて日本の近代の特徴が明らかにされることはもとより、形式の意味内容への規範力、また意味内容の形式への規範力が具体的な事例をあげて証明されることが、とても参考になる。例えばいまや保守的な社会学者にあげられるスペンサーの著書の「スタティクス」が「平等」と訳されることで、ラディカルな自由民権運動の座右の書になったこと、などである。ただ加藤、丸山両氏の議論は、例にもれず日本近代の未成熟さへの批判、としてこのことが論じられる。理念系としての市民社会論はかつては批判原理として有効力をもったかもしれないが、今日のように近代市民社会が「成熟した」段階では、新たな切り口でこの問題を論じる必要があるようにおもう。久々に読み返してみて、両氏のように「西欧」の視点から日本を見下すように論じるのは、個人的にはあまり好きではないとあらためておもったが、現在のように過剰に「日本」が肥大化している状況下では、なんか懐かしくおもえてしまった。
日本近代文化学序説

 江戸期以降の西洋文明の受容にかんして、漢文の読解の問題に遡って考察した、たいへん興味深い対談である。明治期の知識人たちの西洋文明に対する理解が大変的確であったことにも驚くが、翻訳語をつくってゆくことが政治性を伴うということに当時のひとびとも含めて大変に意識的であったことはあらためて注意を払っておいてよい。
 本書の大事な指摘は、あとがきで加藤周一が書いているように、一方的な翻訳は「文化の一方通行」の手段であるということだ。円滑なコミュニケーションのためには、同時に逆翻訳がなされなければならない、という意見は、たとえば土居健一「甘えの構造」の中で、「甘え」に当たることばが西洋語のなかには見当たらない、ということを発見することから話がはじまっていることを考えると、日本を深く知り理解するためにも重要なことだろうと思われる。
 また、「翻訳」の問題は、酒井直樹氏があらためて日本文化研究の切り口として取り上げていることも指摘しておきたい。
日本の歴史をたどる・・・

これを読んで翻訳なくして日本の近代は語れないと思った。。その時代に何が訳されていたのかを知ることで、何が必要とされていたのか、あるいは注目されていたのかを知ることができる。また、様々な知識人の思想、外国との関わりからこれまでの日本の歴史をたどることもできる実に興味深い一冊である。
二人の巨人の・・・

戦後日本を代表する大知識人の対談です。
それだけで、一読の価値は十分にあります。

主に、加藤周一の問いかけに丸山真男が答えるという形を取りますが、
一回一回に知的刺激を受ける内容です。

内容と読後に得る充実感は書名の領域をはるかに超えています。



岩波書店
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